高野文子『ドミトリーともきんす』

ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

これを高野文子が描いたという予備知識なしに、読もうという気になったかどうかというのは、正直なところ微妙だ。でも実際に読んでみると、ああよかったなあと思えるから不思議だ。と肯定的に読めたのは、つい先日出たばかりの
クイック・ジャパン 116
に載っていた著者のインタビューを読んだためかもしれない。
まあ、中谷宇吉郎牧野富太郎は中学の国語の教科書にも載っていたし、そういう意味では科学の入り口としては正しいのかもしれない。
でも一番楽しめたのは、巻頭の「球面世界」だった。これこそは高野文子自身の表現による科学の、自然の詩、なのではないか。どちらかというと、こういう作品のほうを読みたい。