ダン・シモンズ『ザ・テラー』

ザ・テラー―極北の恐怖〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

ザ・テラー―極北の恐怖〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

ザ・テラー―極北の恐怖 (下) (ハヤカワ文庫 NV (1157))

ザ・テラー―極北の恐怖 (下) (ハヤカワ文庫 NV (1157))

上下巻でこれだけのボリュームがあるとはいえ、読むのに2ヶ月もかかってしまった。
北極探検の話はそれなりに面白いし、極限状態や酸鼻を極める描写もあいかわらず良いのだが、妙な副題のせいでホラー小説だという先入観ができてしまっているところに、そういう要素は小出しにされるのでじれったくなる。
下巻の最後のほうになってやっとクトゥルー神話っぽい展開になってきて面白くなるのだが、そこにいたるまでが長かった。でも読み終わって史実もちょっと調べみてわかったのだが、これは単なるホラー小説じゃあなくて、冒険、サバイバル、幻想、神話などの要素がてんこ盛りなエンターテインメント小説なのだった。
あと、やっぱりシモンズの翻訳は、嶋田洋一じゃ物足りない。あとがきで言い訳しているけど、翻訳を数名で分担してやったらしい。どうりで、用語が統一されていないところがあると思った。