セス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』

宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?

宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?

去年読んだ『宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号』が物足りなかったので、同じようなテーマのこの本も読んでみたのだが、同じくらい物足りなかった。しかし早川書房はなぜ、似たようなテーマの本をこう立て続けに出すかなあ。
宇宙がひとつのコンピュータという考えはライプニッツによるものだというのは、『ワン・ゼロ』での馬鳴アキラ君のセリフ。当時、このセリフにはとても感心したものだった。最近ではイーガンの「ルミナス」が、これに近い考え方を元にしていると思えたので、このアイディアの現代的な説明を期待していたのだが。
著者が量子コンピュータの専門家だからか、論理演算の説明のところでいきなり論理ゲートの記号の解説まで始めちゃったりして、ちょっと突飛な印象。また、フレンドリーなところを見せようということなのだろうけど、ギャグがすべりがちだったりお下劣だったりする。
全体的に、今ひとつな内容だった。