情報大うんたら

の中の人達の末端の一人なので、シンポジウムに半ば義務で行ってきた。
どうせつまらんだろうと思っていたのが、東大の先生の話はとても面白かった。
アメリカでは、農機具の先端に化学センサーがついていて、GPSと組み合わせて土壌の詳細な化学成分のマッピングをしているそうだ。日本でも、気象センサーなどを内蔵したブイを世界中の海にばらまいていて、やはり気象や海水の塩分濃度などのマッピングをしているらしい。
その情報をどう使うかというと、風力発電装置を船に搭載して、ちょうどいい感じな風が吹いているところに移動してはどうかという。これについては、得た電力をどうやって日本に送電するのかというような突っ込みはしないで生暖かく見守ってくれということだった。
また、日本人が最も消費している魚介類は意外にもイカなのだそうだが、イカの漁獲量と、生息している海域の塩分濃度には相関関係があるらしい。だから例えば、ある国の漁船がイカ生態学的な特性を知らずに乱獲したために個体数が減少した、というようなことが起こっているかもしれないという。
この話を聞いて、ちょっと嬉しくなってしてしまった。というのも、これはまさに、ポスト・サイバーパンク時代の「神は細部に宿る」的な文学的エピソードではないか。税金を使って、リモートセンシングと測地、通信技術を駆使して、絵に描いた餅のような発電システムを作ったり、よその国に対してお前らのせいでイカ飯が食えなくなったといちゃもんをつけたりできるわけだ。本当にニール・スティーヴンスンあたりが書きそうな話なんで、ぐっと笑いをこらえて、頭の中のネタ帳にメモしておいた。
さらに、ITで儲かるビジネスモデルは広告だけだという消極的な考え方はもうやめようよ、という話もしていた。その直後が「百度」のCEOの講演で、うちの会社はこれだけの広告収入があってこれだけの成長をしています、というような、何を勘違いしたのか株主に対して話すような内容。KY感が漂う実に面白い展開だった。百度で検索される情報の75%(だったか?)はMP3だそうで、これってつまり、百度(というか中国)で検索すれば音楽をタダでダウンロードできるところに行きつけるということを、ユーザは知っているということでしょ。
こんなに面白いんなら、この手のシンポジウムにもたまに行ってみようか。