山上たつひこ『原色日本行楽図鑑』

原色日本行楽図鑑 (THE VERY BEST OF Tatsuhiko Yamagami)

原色日本行楽図鑑 (THE VERY BEST OF Tatsuhiko Yamagami)

この巻のテーマは旅行なのだが、個人的に旅行が好きではないこともあって、あまり楽しめなかった。作者や友人達が旅行に行ったときの実話と思える内容のものが多いのだが、旅館に対する文句とか地方の土俗性を揶揄したりとか、ネガティブな印象が目立つ。こんな思いをするくらいなら、旅行なんかに行かなければいいのに。まあ、そういう話のほうがマンガとしては面白くなるのだろうけれど。
「お天気君」のシリーズは、ギャグはまあまあ面白いんだけど、キャラが立っていないというか破壊力が今一つに感じる。
表題作には4コママンガの連作もあるが、ギャグは滑りがち。
エッセイマンガもあって、文章が結構多い。その文体がいかにも80年代のサブカルチャーのノリだなあと思ったら、1986〜7年に「ブルータス」に書かれたもののようで、納得。帯を筒井康隆が書いているというのも、文章が多いからかもしれない。山上たつひこは筒井作品をマンガ化しているし、監修の江口寿史も影響を受けてるし。