諸星大二郎『未来歳時記 バイオの黙示録』

未来歳時記・バイオの黙示録 (ヤングジャンプコミックス)

未来歳時記・バイオの黙示録 (ヤングジャンプコミックス)

おー、諸星久々のジャンプ系SF。でも、タイトルがちょっと「らしくない」かなあ。『未来歳時記』だけでもよかったと思うんだけど。
そのタイトルが暗示するように、バイオ戦争がきっかけとなって異なる生物種間で遺伝子の混乱が起こり、様々なキメラが生じるようになった近未来の話。予想どおり、雰囲気が「生物都市」っぽい。また、筒井康隆の『幻想の未来』にもちょっと似ているなあと思った。
最終話のタイトルが「風が吹くとき」となっているから、人類にとっては終末を意味するのだろう。だが一方でそれは新たな世界の幕開けを予感させる。
幕間劇の「サトル」のシリーズが、有機生命から機械生命への移行に帰着するかと思ったが、そっちの方向には行かなかった。人類は機械文明すら遺すことはできず、キメラ達に未来を明け渡すしかなかった、ということなのかもしれない。