古屋兎丸『古屋兎丸画集 Flowers』

Flowers―古屋兎丸画集

Flowers―古屋兎丸画集

カバー絵は意外にも油絵で、しかも91cm×182cmという大きいキャンパスだそうだ。最初のほうの数ページはこんな感じでやはり少女をモチーフにしているんだけど、どれも大きいキャンパスに描かれた油絵だということに驚く。
以降のイラストにも作者自身による細かい解説があって、着想を得た経緯や描画のテクニックなどをわりとあっけらかんと明かしてしまう人なんだな。それだけ自分のテクニックやオリジナリティに自信があるということなのかもしれない。
インタビューの内容もかなり濃いもので、『Palepoli』が4コマなのはコマ割りのやり方がわからなかったからだとか、読んでいて大笑いしながらも背筋がゾーっとした「伝染病X」のシリーズが出来た経緯など、とても面白い。
また、短編が2編収録されているが、どちらも後期のCOMIC CUEに掲載されたもの。この頃のCOMIC CUEはもう読むことを止めていたので、これは嬉しい。
吾妻ひでおを継いで「ビッグ・マイナー」の称号を継承するのは古屋兎丸ではないかと漠然と感じていたが、インタビューから窺える貪欲な創作姿勢などを見ると、この作風が世間に受け入れられさえすれば、「ビッグ・メジャー」になるのではないかとすら思える。