弐瓶勉『ブラム学園! アンドソーオン』

ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集 (アフタヌーンKC)

ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集 (アフタヌーンKC)

その他の単行本は全て制覇したので、やっと読めた。
「ブラム学園!」は、まず原作を自ら解体して学園モノにしてしまうというセンスが素晴らしいし、元がシリアスなだけにギャグになると破壊力がものすごい。原作の創作過程はきっとストイックな作業なのだろうと勝手に思うわけだが、そのぶんこうして最大限の振れ幅でもってギャグというはけ口に鬱屈したものを吐き出せば、きっと気持ちいいんだろうなあ。
ヌードの画は初めて見たけど、あまりエロくない。やはりこの作風では着エロだろう。また、オールカラーなので血や臓物の描写はさすがにグロいかなと予想していたが、思ったほどグロくない。血の赤でも、あまりどぎつくない色にしているからだろうか。むしろ、「ポンプ」という短編のほうが、血や臓物などは出てこないものの、内容とも相まって生理的に訴えるものがあった。
巻末には本田透という人による解説がある。「萌え」に関しては真面目に分析する気にもならなかったが、この解説をもって、わかったつもりになって今後引用させてもらうことにする。萌えの元祖は吾妻ひでおである、という発言をよく目にするが、ずっと違和感を覚えていた。だがここではそのような論旨は全く出てこないので、個人的に同意した。「ブームというものは10年周期。」というのは、まあそう考えたほうが評論家や作り手にとっては都合がいいある種のレトリックにすぎないと考えているが、この解説者の用語でいえば、早く「萌え」が終わって再び「喪」の時代が来ないものかなあとは思う。