諸星大二郎『巨人譚』

巨人譚 (光文社コミック叢書“シグナル” 19)

巨人譚 (光文社コミック叢書“シグナル” 19)

今は亡き朝日ソノラマから出ていた『砂の巨人 (デュオセレクション)』からの再録ということで、実家の本棚から引っ張り出してまずそちらから読んでみた。「マンガ少年」よりも「DUO」のほうが懐かしいと感じる不思議。
ボリュームも少ないしやや地味な感じなのであまり印象に残っていなかったのだが、巻末のあとがきが面白かった。また、ダン・シモンズの『イリアム』でちょっとだけギリシアの古典について学んだので、「ロトパゴイの難船」の仕掛けはすぐにわかった。
この『巨人譚』では、書き下ろしと単行本未収録の短編も加わり、シリーズとして一応まとまっている。
第二部として中国モノ2作が収録されているが、これが砂の巨人とももちろんギリシアやアフリカとも全く関係がないので、かなり突飛な印象。作品としてはとても面白いのだけれど。著者自らが解題で書いているように、「諸怪志異」のシリーズの単行本に入れればいいのに。
しかしつくづく、光文社というかこのラインナップの編集方針には馴染めない。価格は今までにないくらいぐっと抑えられているが、それでも他社の同じくらいのボリュームの本に比べれば割高。本当に呆れたのは、102ページ下の注釈。「ラブリュス=斧」の「=」に「イコール」とルビが振られているのだ。もちろん他のページにも注釈はあっていずれもそのようなルビは振られていないのだが、馬鹿にしてんのか。オレに校正させろ。