清原なつの『人魚姫と半魚人王子』

昔の作品ではどちらかというと、性に対する悩みや戸惑い、怖れ、それゆえに拒絶したり、反動から奔放に振る舞ったりという話のほうが印象に残っている。だがこの短編集に出てくる姫や王子たちは、それなりに障害を抱えてたりするものの、わりと屈託なく性を受け入れているようだ。ストーリーは、きめの細かさはなりをひそめて、どちらかというと大胆、悪くいえば投げっぱなしで収拾のついていないものもある。けれども、これはこれでいいと思う。
雑誌での連載はまだ続いているようなので、続刊がありそう。
ところでこの本には、短編集『サボテン姫とイグアナ王子 (清原なつの忘れ物BOX (1))』と同じタイトルの作品が収録されている。それを元に加筆したものが本書に収録されているようだ。