ヴィクトリア女王 世紀の愛

ヴィクトリア時代というと『ディファレンス・エンジン』のイメージが強い。もしかしたらキーツやワイルドも出てくるんじゃないかと期待していたが、ほとんど宮廷内の映像だったのでヴィクトリア朝時代の芸術家などは出てこなかった。
衣装が派手なわけでも宮殿のセットがものすごいわけでもなく、演出が超スタイリッシュで音楽がなぜか80年代UKロックだったりということも当然ない。それでも何故かとても面白くて、2時間があっという間だった。宮殿などは、非現実的にだだっ広くて装飾過剰、ということはなくてむしろ地味なくらい。実際19世紀のイギリスの城なんてこんなもんだったんじゃないかな、と却って説得力を感じてしまう。
「世紀の愛」というわりにはラブラブ光線はそんなに出てないし、権謀術数がメインで頭を使わないといけない話でもない。そういう意味では中途半端といえるかもしれないし、たまたま波長が合っただけかもしれないが、史実がどうのとか当時の政治的背景がどうのとかを気にしないで観るぶんには、いい映画だと思う。