マイケル・シェイボン『シャーロック・ホームズ最後の解決』
- 作者: マイケルシェイボン,Michael Chabon,黒原敏行
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: ペーパーバック
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とはいっても、ホームズものを知らなくてもじゅうぶん楽しめる内容になっているし、近年稀に見る薄さ(本編は150ページにも満たない)なのですぐ読めた。暗号めいた数字を喋るオウムというと、『フェルマーの鸚鵡は喋らない』を連想したが、あまり共通点はないか。でも、オウムに翻弄される人間のドタバタもの、というジャンルがあるのかもしれない。
たしかに前半は、かすかとはいえど記憶にあるホームズもののパスティーシュになっている。後半は、第二次大戦中という時代背景や、重要な中心人物であるユダヤ人少年がドイツからの亡命者だったり、一時的に「特殊な」語り手によるモノローグになったりと、SF的な要素も感じる。シェイボンという作家の特徴がよくわかる小説なので、『ユダヤ警官同盟』よりも先にこちらを読みたかった。