月に囚われた男

かなり期待して観に行ったんだけどなー。
クローン人間ネタであることは早々にわかるのだけど、そこからの話の膨らませ方が物足りない。小道具やセットが『2001年宇宙の旅』の雰囲気だけど、この映画に出てくるロボットというかコンピュータはいい奴。むしろ、彼こそが主人公であるといってもいいんじゃないか。
ところで、SF映画って、小説と違って科学考証が軽んじられてるというかほとんど顧みられていないので、疑問を持つスキがあるとそこで一気に醒めてしまう。この映画の場合は、舞台が月面なのに重力加速度が場面によって明らかに違うところだ。トレッドミルで地球上と同じようには走れないだろうし、月面ではアポロの映像みたいにジャンプしながら歩く様子とは矛盾する。だからもしかしてこれは『カプリコン・1』オチだったりして、なんて思ってしまったくらいだ。レールガンで生身の人間を射出するというのも乱暴すぎて、逆『月世界旅行』かよ、と。おれ的には、こういう細部を観客に意識させてしまうかどうかで、SF映画の評価が決まる。昨日観た『第9地区』は、人間とエイリアンが話しているのがそれぞれの言語なのにちゃんとコミュニケーションが成立していることに、違和感を感じないくらいにストーリーにのめり込めた。
全然関係ないけど、映画泥棒がまだ昔のやつだった>恵比寿ガーデンシネマ