レポゼッション・メン

映画館が入っているビルで友人達と待ち合わせしたら、たまたまポスターが目に入った。B級臭がプンプンしたので、その場のノリで急遽観ることに。いやしかし、予備知識が全くなかったせいか、意外に面白かった。
オープニングから、『ブレードランナー』の劣化コピーのような雰囲気が漂うのだが、『トータル・リコール』を思わせるストーリー展開もあったりして、もしかしてこれはディックまたはバーホーベンへのオマージュ?それともただのパクリ?とつい考えてしまう中途半端なところも含めて楽しめる。主人公とその彼女(これもレイチェルとキャラクターがかぶる)がたてこもる場所なんか、デッカードとバッティが死闘を繰り広げた廃虚とほとんど同じ雰囲気だったし。人口耳を移植している彼女が、耳の横のジャックにヘッドホンを挿して遠距離の音を主人公に聴かせるというのは、サイバーパンクっぽい。人工臓器の闇修理屋がほんの9歳の少女だったり、小ネタも満載だ。読んだのはもうずいぶん昔のことなので細部は忘れてしまったが、『流れよわが涙、と警官は言った』のような雰囲気もあるようにも思った。
音楽も良くて、「回収」のシーンでマンボやレゲエを使うセンスが素晴らしい。と思ったら、監督はミュージック・ビデオの出身のようだ。
生体臓器の替わりに人工臓器を移植することで延命するのが当たり前のことになった近未来。どうやらその人工臓器ビジネスは、いち企業の独占状態にあるらしい。もちろん人工臓器は法外に高額なわけだが、ローンの支払いが遅延すると強制的に、つまり外科手術的(当然、殺してからだったり、生きていたとしても麻酔は無し)に身体から摘出することにより「回収」される。その回収屋が主人公。しかし、なぜこんなにローンを踏み倒す客ばかりなのかとか、武装がナイフや牛刀といったアナクロなものばかりなのかとか、人工臓器を販売している会社の一般社員が、プロである主人公に素手で立ち向かうモチベーションはどこから来るのかとか、ツッコミどころが満載。
それでも、途中まではわりとまっとうに面白いのだ。主人公が若いときからのファンであるミュージシャンの臓器を回収するというエピソードや、家族や上司との葛藤、またアクションシーンもスピード感があっていい。伏線の張りかたも上手い。しかし、後半の数十分くらいから話がどんどん荒唐無稽になってきて、今までの良さを全て台無しにするかのような展開になってしまい、苦笑するしかなくなってしまう。
ところが!!なのである。ネタバレになってしまうから詳しくは書かないけど、最後の最後に、回収されていなくて気になっていた伏線のひとつを効果的に用いたどんでん返しが待っていたのだ。前述の苦笑シーンも、その効果を高めるための伏線であった。最後まで諦めずに観て良かったなあ。
エンドロールも観なきゃだめ。まあこの映画に限らず、エンドロールを観ないなんて、はっきり言って馬鹿。
ところで、このストーリーはそもそも人工臓器のローンを払えなくなる客があまりに多いという設定があるからこそ成立しているわけだが、これはもしかしてサブプライムローン問題へのアイロニー