シングルマン

結局、終了ギリギリになってしまったけど、観てよかった。本当によかった。
評判どおり映像はとても綺麗。だけど、一分の隙もなく作り込んだ美しさというわけではなくて、心に自然と染み込んでくるような綺麗さ。ゆっくりめに進むストーリーとも相まって、全編とてもリラックスして観ていられた。キューバ危機で米ソ関係が最悪な時代という背景や、全体を通して見られる暗いユーモアやアイロニーもいい。
主人公がゲイで黒縁のメガネをかけているからというのもあるかもしれないけれど、途中で「この映画はThe Smithsではないか」ということに気がついた。Morrisseyの詞やアートワークの雰囲気などとの共通点もあるけれど、マイノリティやアウトサイダーと呼ばれる人々の奥深いところで通底している、The Smiths的な何かとでも言うべきものの存在を感じずにはいられなかった。