恋の罪

2時間半はちょっと長いかなあと思ったが、全く飽きさせない面白さ。というか、凄みのある狂気をむき出しにされ、首根っこを捕まれた上で体ごとグイグイ揺さぶられたような感じで、上映前の眠気も疲れもふっとんだ。
殺人事件の謎解きはまあどうでもよくて、エロさとグロさと、いわくいいがたい居心地の悪さとを堪能できた。
観終わってから、はてなぜこのタイトルなんだろうとちょっと考えてみたのだけど、「罪」とはつまりキリスト教的な意味での「原罪」のことなんじゃないのかなあ?劇中に出てくる詩には「言葉などわからなければよかった」という一節がある。登場人物の一人が言うように、セックスとは言葉であり、言葉とは知識であり知そのものである。したがって、性=知=罪という図式が成り立つのでは。
しかしこの映画の本当にすごいところは、そのような倫理的な境界を乗り越えてしまったことにあると思う。
ところで、途中からなんとなく既視感を憶えていてずっとモヤモヤしていたんだけど、家に帰ってからひらめいた。この映画は京極夏彦の『絡新婦の理』に全体的な雰囲気が似ている。売春、フェミニズムキリスト教、猟奇、といったキーワードも。