池田理代子『ベルサイユのばら』
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さすがに今読むと時代を感じてしまう。ちょうど今『日出処の天子』の完全版を読んでいるので、歴史物としてつい比べてしまうのだが、いわゆる昭和24年組とそれ以前ではこんなにも違うものなのだなあ。とはいえ、少女マンガの王道としてこれは確かに素晴らしい作品だ。
オレ自身がフランス革命に詳しくないので、どこまでが史実でどこからがフィクションなのか判断つかないのがもどかしい。でもベルサイユ宮殿には20年くらい前に一度だけ行ったことがあって、その壮大さには驚いた。実際に見た人ならわかるだろうけれど、城どころか庭園にはちょっとした湖なみの大きさの噴水庭園があって、目の錯覚か遠近法を上手く利用しているのか、実際よりも大きく見え、向う側が霞んでいた。これだけの宮殿を維持していたわけだから、そりゃあ民衆の負担も大きかっただろう。
そんな記憶と相まって、最初は美しい王妃マリー・アントワネットを歓迎していた民衆が、ほどなく手のひらを返すように革命へと導かれていくという過程がとてもわかりやすく描かれていると感じた。しかし実際のフランス革命がこのようにろくに組織化もされずに成功したとは思えないので、そこのところをもう少し描き込んでほしかった。ロベスピエールやルイ・アントワーヌ・ド・サン=ジュストといった民衆のヒーローは何人か登場するけれど。
オスカルが死んでからも結構長くストーリーが続くというのは意外だった。まあこの部分で、革命後の王家の運命がわりと細かく描かれていてよかったが。あと、5巻の最後に収録されている外伝はゴシック・ホラーで、美内すずえもそういうのを描いていたし(「魔女メディア」)、そういう時代だったのかも?