フレッド・ホイル『10月1日では遅すぎる』

いつか読もう読もうとずーっと積んでいたが、なんとか(今年の)10月1日に間に合った。
序盤に出てくる時間論は、まるで塵理論量子論のわかりやすい解説とも相まって、この調子で続いてくれるかと思いきや、中盤からはがらりと様相が変わる。まあこれは印象的なラストへ向けた流れであると考えれば自然ではあるのだけれど。
フレッド・ホイルといえば、その科学的業績の裏で、古生物学へのいちゃもんとしか思えないような批判やビッグ・バン仮説への痛烈な反論、パンスペルミア説への傾倒などで、科学者としては個人的にはあまり尊敬できない人なのだけれど、書く小説は至極まっとうだった。これは正直意外。