ももいろクローバーZ JAPAN TOUR 2013「5TH DIMENSION」(1日目)

きたえーるでのライブ、キャパが小さいし土日なのでファンクラブ枠とはいってもチケットを取るのは難しいかもと思い2日とも応募したら、両日当たってしまった。初日の今日はアリーナ後方で、友人と一緒に観た。ステージからは遠かったけど、観客の年代が低めなのと女性客が多いのとで、視界を妨げられることもなくステージを見通せた。
このツアーが始まったときから情報を追いかけていたので、セットリストも知っていたし、一部の曲もすでに聴いていた。もちろん4月に出るアルバム曲を全部やるということも知っていたし、演出や衣装のデザインがあまり芳しくないという話もチラホラと聞いてはいた。
だけど、そんな前知識はライブが始まった瞬間に吹き飛んでしまった。ももクロはライブビューイングを今までに2回観ていたし、ライブのDVDやBDもほとんど持っているので雰囲気はわかっているつもりだったけれども、本物のライブは全然違っていた。なんというか、混じり気のない「生もの」というか、会場全体を包み込む雰囲気は、それらパッケージ商品では決して味わえないものなのだった。顔がほとんど見えないマスクを被ってのパフォーマンスや、未聴の曲が多いためにノリ方がわからないオーディエンスの戸惑いを包み込んで「魅せる」実力と勢いとを、今の彼女たちは備えている。
こんなに感動したライブは久しぶり。個人的に、初めてPerfumeのライブを観たときと同じくらいか、もしかしたらそれ以上だった。席によっては豆粒ほどにしか見えないような西武ドーム横浜アリーナでも、行きたくなる気持ちがよくわかった。
そしてちょっと驚いたのは、女性客がとても多いこと。男女比はほぼ1対1だったんじゃないだろうか。年代は10代〜20代が多かったと思うが、こんなに女性にも支持されているとは思っていなかった。
数曲毎にダンサー達によるパフォーマンスがあったけれども、これは余計なように感じた。前述のように今回のツアーがアルバムのお披露目に重点を置いているとすれば、その世界観とマッチしているようには思えなかった。どうせならもっとモダンなものにするか、いっそ暗黒暗黒した舞踊のほうがよかった。
だから、今までのももクロのライブの流れからすると、今回のツアーはある意味「失敗作であることを度外視すれば傑作」と言えるのではないか。そしてももクロには常々文学的な匂いを感じていた。ということで私は強引にも、ももいろクローバーZ筒井康隆説を大胆にも唱えるものである。デビュー当時はどちらかというと無難な作風で根底に文学的な香りを漂わせていたが、一度化けて(「Z」がついて)奇抜な着想と派手な表現手法、なりふり構わぬように見えるパフォーマンスとエンターテインメント性でもってコアなファン層を獲得し、そして揺るぎのない実力と人気とを得たところで、マジック・リアリズムや純文学的傾向の強い作風に変化するという。とすれば、このツアーとアルバムはいわば『虚航船団』ではないのか。「5TH DIMENSION」という言葉に象徴されるSF的要素や、1曲目「Neo STARGATE」の歌詞やMVに見られる神話的モチーフが、見事に符合するではないか。
などというざれ言はさておき。「5TH DIMENSION」の全曲披露が終わると第二部が始まり、これは今までの人気作のオンパレードで、第一部との対比が面白かったし、トータルでバランスがとれていたとも言える。
自己紹介が終わって「ももいろパンチ」のイントロがいつもより長いと思ったら、メンバー全員がアリーナ後方からいきなり登場。近い。しおりんまでの距離約5メートル。幸せすぎて記憶が半分飛んでる。
そして今日のトークの最高のエピソードは、ももかが前髪を切ったという話題で夏菜子が「たんぱつしき」と発音したことがきっかけで他メンバーからの激しい突っ込みが入り、まさかのというか案の定というか、今まで「断髪式」のことを「短髪式」と勘違いしていたということが発覚。これには腹がよじれるほど笑った。美人さんで身体能力も高く、歌は決して上手いとはいえないけれども類い稀な表現力を持ち、さらにカリスマ性さえ備えた不動のセンター/リーダーがこんなアホだとは。本人が、恥ずかしいから呟かないでと言っていたので、呟かずにここに書き留めておくことにする。
本当に、いろいろな意味でこの娘たちは最高。