花輪和一『赤ヒ夜』
- 作者: 花輪和一
- 出版社/メーカー: 青林工藝舎
- 発売日: 2013/03/25
- メディア: コミック
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この本に収録されている「因業地獄女「倉」」が、たぶん初めて読んだ花輪作品だと思う。ちょうどこのころから「ガロ」を読み始めたし。そのためか、70年代よりも、80年代に描かれた作品のほうが個人的には好みだ。「玉の価はかりなき事」はSFだし、「心の影」もニューウェーブSFっぽくて今でも印象に残っている。著者の分身ともいえる少女が出はじめたのもこのころからかな。
「かんのむし」や『月ノ光』に収録されている「神に誓う子」などを読むと、ありそうでなかった日野日出志とつげ義春の混交ではないかと思うのだが、今回単行本に初収録された「進展なき事態」を読むと、この著者にも迷走期のようなものがあったのかもしれないな、などとも思う。