花輪和一『赤ヒ夜』

赤ヒ夜 改訂版

赤ヒ夜 改訂版

これもかつて青林堂から出ていた単行本を持っているのだけど、アックスストアで予約して買ったので、著者のサインと購入者つまりオレの名前入りなのだ。名前は著者の直筆で、とても丁寧な筆跡であり、これはとてもありがたいものなのです。
この本に収録されている「因業地獄女「倉」」が、たぶん初めて読んだ花輪作品だと思う。ちょうどこのころから「ガロ」を読み始めたし。そのためか、70年代よりも、80年代に描かれた作品のほうが個人的には好みだ。「玉の価はかりなき事」はSFだし、「心の影」もニューウェーブSFっぽくて今でも印象に残っている。著者の分身ともいえる少女が出はじめたのもこのころからかな。
「かんのむし」や『月ノ光』に収録されている「神に誓う子」などを読むと、ありそうでなかった日野日出志つげ義春の混交ではないかと思うのだが、今回単行本に初収録された「進展なき事態」を読むと、この著者にも迷走期のようなものがあったのかもしれないな、などとも思う。