佐々木倫子『チャンネルはそのまま!』6

雑誌は読んでいないので、これで最終巻と知って驚いた。
カバー絵が違和感ありありで「????」となったんだけど、読んでみて納得。なるほどそういうことか。これは第40話のエピソードにちなんだ絵だと思うけど、この回は特に秀逸。いろいろな意味で。テレビというフィルターを介すと、それが報道と呼ばれていようがドキュメンタリーと呼ばれていようが、虚構なのだな。筒井康隆の言う「唯虚構論」は、こういうことをも指していたのかもしれない。
それにしてもこの漫画は地元ネタ満載で道民としてはとても嬉しい。非常に細かいことだが、ゴーグルのふちの部分にもちゃんと雪が描かれていて、感心してしまった。当たり前だけど雪というものは、公園の鉄棒の上だろうと薄いガードレールの上だろうと、ほんのわずかな平面さえあれば積もるのであります。停電ネタも、去年の早すぎる大雪による大停電事件を踏まえたものだろう。
中盤くらいから、(雪丸という主人公の存在以外は)リアリティのあるテレビ局を舞台にした従来のストーリーに、かなりフィクション性の高い成分が含まれるようになってきてちょっとハラハラしたが、この流れが実は最終回につながる一種のメタフィクションだったとは。本当にこの作者は話の畳み方が上手い。