吉田秋生『櫻の園』完全版

「完全版」といっても、違いは扉絵がカラーになったことくらい。でもこのカラーが、4色刷り(かな?)でシンプルで風情があって実にいい。最初に出た単行本よりも一回り小さいけど、このほうがなんとなく作品に合っているような気がする。
何年ぶりかに読んだけど、やっぱりいいなあ。ベタで真っ黒に塗られた野暮ったい制服に身を包み、すこし猫背気味でいる彼女達だが、最終話ではごく薄いトーンや純白の衣装になり、しゃんと背筋を伸ばしている。
ここに至るまでのほんの数ヶ月間に生じた、彼女達の変化たるや。
そしてコマとコマの間の、語られなかった言葉、描かれなかった画のなんと饒舌なことか。