エリジウム

細かいツッコミどころはたくさんあったけど、なかなか面白かった。
しかしこの監督はもうこの芸風で決まりなのかな。映像といいストーリーといい「第9地区」とほとんど同じといってもいいくらいだったけど、かといって映画の出来そのものを「第9地区」と比べるのはちょっと可哀相なんじゃないか。
変に政治的な方向に持っていかずに、アクション、エンターテインメント映画に徹していたのがよかった。これぞまさに社畜の哀しみという流れから、階級間の格差を医療という点に収束させることによって映画全体が引き締まっていたし、余計な枝葉をばっさりと切ったおかげで、ストーリーがぶれなかった。くどいようだがツッコミどころはたくさんあったけど。
階級間の格差を冨や権力といった「量」ではなく、医療つまり長寿や健康という「質」に写像するというのは、グレッグ・イーガンの「ぼくになることを」や「イェユーカ」のような短編にもあったように、とても現代的だと思う。