SONY UDA-1 & SS-HA3 [導入編]

SONY USB DAC アンプ シルバー UDA-1/S
SONY スピーカーシステム シルバー SS-HA3/S


さて、ポチッた翌日にはもうブツが届いたので、さっそくセッティングしてみた。
母艦は今年買ったMac mini late 2012、OSはMacOS X 10.8.5。iTunesの音楽データは全部このMac miniの外付けHDDに入っているし、もっぱら仕事をしながらBGMとして聴くことになるので、Windowsマシンは持っているけど眼中にない。


付属のUSBケーブルでMac miniとUDA-1をつなぎ、スピーカーケーブルも付属のものを使った。Hi-Res Audio Playerというハイレゾ音楽再生用のソフトウェアをダウンロードしろとあるが、まずはiTunesの曲を再生してみた。CDはすべてALACでリッピングしているけれど、まるで次元の違う音が出た。今まで使っていたのが、とりあえずThunderbolt Displayの内蔵スピーカーよりもマシな音が出ればいいやとその場凌ぎのつもりで買ったSRS-D5なので、これは当たり前か。
次に、iTunesのライブラリに入っているデータの中で最もハイレゾな音源である、My Bloody Valentineの『m b v』を再生してみた。元のデータは96kHz/24bitのWAVファイルで、マイブラのサイトから直接ダウンロードして購入し、これをALAC化したもの。だがこのアルバムに入っている曲自体が揃って地味なせいもあってか、今一つピンとこない。それならばと、お達しに従ってHi-Res Audio Playerをダウンロードして再生してみた。
すると、ずいぶんキレの良い音が出て、UDA-1の本体を見ると「88.2/96kHz」と表示のあるインジケータが点灯している。そういえばさっきiTunesで再生したときにはこれは点いていなかったんじゃなかったかと思い、もう一度iTunesで再生するとやはり点灯しない。ということは、ALACでサンプリング周波数も量子化ビット数も元のWAVファイルと同じとはいえUDA-1でコンバートされているのは96kHzの信号ではないということになる。
そこでいろいろとググってみて、やっとMac OSの音声出力の仕組みがわかった。USBから高ビットレートの信号を出力するには、ユーティリティに入っている「Audio MIDI 設定」を使って対象となる出力の設定をしてやる必要があるのだった。これは不覚にも存在すら知らなかった。左側のペインに「Sony USB DAC Amplifier」というのがあるので、このデバイスの「フォーマット」を「96000.0 Hz」、「2 ch-24 ビット整数」に変更した。これでやっと、iTunesのALACでも納得のいく音が出るようになった(その後、よく考えてみればまだCDをALACにしたソースのほうが圧倒的に多いので、44.1kHzの倍数である176.4kHzにした)。


ところで、このSONYが配布しているHi-Res Audio Playerだけれども、UIも機能も、今どきこれはないだろうというというガッカリな出来。WAVだとメタデータを付加できないので「Artist」に何も表示されないのは仕方がないとして(FLACやALACだと表示される)、まるで大昔のファイラに再生や停止など操作系のボタンをつけただけのようなもの。このソフトを使って再生するときは、Finderからファイルをドラッグするか、「ファイル」メニューから「開く…」を選んで再生ボタンをクリックする。一応プレイリストを作成できるが、XML形式でファイル名を保存するだけ。iTunesほどの高機能は求めないが、せめてアーティストやアルバム単位でグループ化くらいできないと、とても音楽再生ソフトとして実用的であるとは言えない。


そこで、先ほど調べたときについでに見つけた、音楽再生ソフトとしては有名であるらしいAudirvana Plusというのをインストールしてみた。これはiTunesとの連携機能も備えているので、iTunesのデータをそのままUSBに出力するという、まさにやりたかったことができるはず。で、確かにできた。そして音もたいへん良い。CD音源でも、今までとは段違いの音が出る。
しかし、このAudirvana PlusとiTunesで音楽を再生しているときには、システム音やブラウザで再生しているYouTubeなどの音声も出力されない。これはHi-Res Audio Playerの場合でも同様で、とても不便だ。しかし考えてみれば当然で、本来CoreAudioに出力されるはずのデータを横取りしてそのままUSBに出力しているので、いわばミキサーに相当するものがないのだ。
ここでちょっと悩んでしまった。Mac miniを音楽再生専用機としてしまうならば、Hi-Res Audio PlayerなりAudirvana PlusとiTunesの組み合わせなりでいいだろう(BitPerfectというソフトもある)。しかし、本業はあくまでも本業としてあるわけで、それにはファイル操作などに伴うシステム音、メールの着信音、Skypeなどの音声は必須。それにたまには息抜きにYouTubeUstreamを視聴したくもなるだろう。にんげんだもの
Audirvana Plusを使うとDSDもDoPで再生できるという魅力はあるのだが、悩んだ末にこれらのソフトを使うのは諦め、iTunes一本でいくことにした。そもそも、このUDA-1はいわば入門機という位置づけなわけで、冷静になって考えてみれば、手軽にハイレゾオーディオ環境が導入できてナンボなんじゃないか。これで本格的にハイレゾオーディオをやってみたくなったら、そのときにまた考えればいいじゃないか。
このような高音質の再生ソフトを使わないことにした理由はもう一つある。さすがに付属のスピーカーケーブルでは物足りないだろうと思い、ケーブルを変えてみたのだ。といっても、メートルあたり500円くらいの安いやつで、アンプ側をバナナプラグに、スピーカー側をYラグにしただけ。ちなみに全額ポイントで賄った。これだけでかなり音質が向上したので、もう満足してしまった。前回、「自分でどうにかできる感」と書いたのは主にこのことによる。


さて、「モノ」としてこのUDA-1とSS-HA3を見てみると、どちらもガワの剛性がそこそこあるので手で叩いても鳴らないし、重さもあってほどよい安定感がある。色はシルバーにして正解だった。デスクの上はMac miniをはじめApple製品に囲まれているので、アルミ筐体がマッチする。
SS-HA3の上部手前にはスーパートゥイーターがあるが、ここにはホコリが溜まりそうだし、ふとしたことで凹ませてしまいそう。ここは薄くて粗いウレタンのようなもので覆ったほうがいいかもしれない。
UDA-1は、使用中は天板がほんのり暖かくなる程度。しかし、底板はもっと暖かいというか、「熱い」の一歩手前くらいな感じでこれは少し気になる。
また、オートスタンバイ機能がついていて、一定時間信号を検出しないと自動的に電源がOFFになる。しかし、Macのほうで再生を再開してもONにはならない。これは、電源がOFFになった時点でMacからはデバイスが存在しなくなったと見なされるので、音声の出力先が次の優先度のものに切り替わってしまうため。なので、これはオートスタンバイではなく、スリープ機能だと思うことにした。Windowsだとどうなのだろう。
あと、どちらも足にはゴムがついているが、これがやや粘着性が強くて、机などにぺったりとくっついてしまう。今はたまたま木製の天板の上に置いているのでそれほど気にしていないが、樹脂製のものの上に乗せていると、色移りしたりべったり張り付いてしまいそう。耐震マットなどを敷いたほうがいいかな。
あと、SONY独自の「ハイレゾ」ロゴのシールが天板に貼ってあるが、このロゴがまたダサい。この手のシールはいつもすぐに剥がしてしまうたちなのだが、これはあまりにダサすぎて面白いので、飽きるまでこのままにしておこう。


今のところ、上述のような運用で概ね満足している。少し手を加えるにしても、有料のソフトを導入したりオーディオ専用のUSBケーブルに換えたりというようなことはしないと思う。気軽に使えるのがこの製品のよいところだと思っているし、ちゃんと音楽を聴くなら、仕事から離れてリビングのシステムでリラックスして聴きたい。
でもなんかこう、いわゆるPCオーディオって、どういうスタイルで聴くのがいいのだろう、と考えてしまう。もちろん人それぞれの聴き方があるのはわかっているけれど、PC(Mac)というとどうしても仕事と切り離すことができないわけで、それと音楽鑑賞、しかもハイレゾというのをどう両立させるか、どこまで突き詰めるか、ということをつい考えてしまう。