チャイナ・ミエヴィル『言語都市』

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

うーん、やはりミエヴィルとは相性が悪いのか、訳がわかりづらいのか。忙しくて本を読むまとまった時間がとれなかったこともあって、休み休み3ヶ月くらいかかってしまった。
序盤で今一つ入り込めなくて、裏表紙のあらすじにあるような事件もなかなか起きない。中盤くらいになってやっと何かが起こり始めるのだが、そのときにはすでに飽きてしまっていた。こんなことは滅多にないのに。
ジャンルとしては言語SFだろうという先入観と、物語に没入できる時間がとれなかったのが敗因か。最後のほうはもう流してしまったので、これでは読んだ、とは決して言えないなあ。
ここに出てくる異星人であるアリエカ人にとっては思考=言語(作中では「ゲンゴ」と表記される)であり、従って彼らは嘘をつけない。己の思考を自らに偽ることはできないから。これはつまり、モノでもコトでも、言語化された瞬間にそれが指し示すものの本質とは異なってしまうものであり、思考の様式に言語が用いられている以上は決して「正しい」思考を行うことができない、ということなのではないか。だからこの作品はいわゆる「言語SF」ではなく、「思考SF」なんじゃないか。
ということくらいしか受け取れなかった。うーん、残念。だけどちょっと文句を言わせてもらうと、ミエヴィルの作品は無駄に長すぎる。もっとすっきりしたストーリーにしてくれればなあ。