しつこくSONY SS-HA3 [悔恨編]

低音強すぎ問題はバスレフ孔を塞ぐことで一応の解決をみたが、それでもやはり物足りない。
バスドラやベースの低音、エレクトロ系の高音はとてもよく響いてくれるのだけど、ボーカルやギターの音がどうしてもこもってしまう。ボーカルは、女性のハイトーンは綺麗な音になるのだけど、同じ女性でも声域がアルトだと聞きづらい。中村由利の声がいつにも増してモゴモゴしている。
そこでふと片方のチャンネルだけから音を出してスピーカーの正面に耳を向けてみたところ、とてもクリアな音が聞こえた。また30度ほど角度をつけてみると、やっぱりこもって聞こえる。これはもしや、単に指向性が強いだけ?と思ってSpectraSuiteというアプリを使ってiPhone5で周波数特性を測定してみた。
96kHz/24bitのハイレゾホワイトノイズ(笑)のWAVファイルを、ソニーが配布しているHi-Res Audio Playerで再生。スピーカーから約1メートル離れたところでiPhone5のマイクを向ける。SS-HA3用のイコライザーはONにした。


1) スピーカーの正面で測定


2) スピーカーの右30度の位置で測定


どちらも20kHzでストンと落ちているのは、このアプリの仕様で測定限界だから。というかたぶん、iPhoneのマイクの限界によるものだろう。
入力はたかが携帯電話のマイクなので、精度にはあまり期待はできないものの、それでも測定結果からはある程度このスピーカーの特性がうかがえる。スピーカーの正面やや右で測定した2)の場合には、1kHzを超えたあたりからのばらつきが大きく、周期的に(横軸は対数軸だけど)大きな山と谷が3箇所ほどある。このため、比較的安定している低音と高音とが目立ち、中域がこもって聞こえるんじゃないだろうか。
ということで、自分のほうに正面を向くようにスピーカーの角度を変えてみたところ、かなり聞きやすくなった。バスレフ孔に突っ込んでいたタオルを取り除いてもブーミーに感じない。幸いこのスピーカーは横断面が楕円形に近いので、斜めに置いても占有する矩形の面積あまり変わらない。
しかし、この結果にはがっかりだ。ソニーのサイトでの説明では広指向性を謳っているが、それどころか指向性ありまくり。比較的指向性の強い高音についてはトゥイーターを2個搭載することで対応できたが、そのかわりウーファーが疎かになってしまいました、的な。
リビングでホームシアターのフロントスピーカーとして使っているTEACのS-300NEOは、ユニットの数は異なるものの同じく2ウェイでバスレフ式。キャビネットは木製だしウーファーの径も少し異なるのでコンセプトは全く異なるのだが、このSS-HA3とほぼ同じ価格だ。そこで試しにこのS-300NEOをUDA-1につないでみたところ、バッチリ綺麗な音で鳴ってくれた。
ソニーのサイトにはこの左右のスピーカーの間にVAIOとUDA-1を配置している画像が載っているが、この状態だと間違いなくこもって聞こえるはず。
これはちょっとやっちまったなー。でも試聴したとしても(まともに試聴できるところは近所にないのだけれども)こんなところまではわからなかっただろうな。銀座のショールームではちゃんと試聴できるようなので、今度行ってみよう。