危険なプロット

なんだこれ。もっと「危険」で不穏な映画だと思っていたら、そうでもない。というか、全然物足りない。
主人公の少年が書いた作文を読んだ教師が彼に隠れた才能を見いだすというところから始まるが、そこそこ早熟な16歳ならこの程度の文章は書けるだろう。しかも少年が書いていることはおそらく現実に起きた出来事を模写しているだけで、つまり私小説なわけだが、まあそこそこ凝った表現や言い回し、アイロニーが見え隠れするものの、そんなにスゴい内容というほどでもない。
やがて主人公が友人の家族に介入していき、自分が望む「プロット」に合うように、いわば自分の作品の登場人物を操って物語を綴っていくのだが、このくだりはまあそこそこ面白かった。
でもどうせならラストを一種のDeus ex machinaで収束させるのではなく、破滅的な終わり方をしてもよかったんじゃないかな。なんというか、フランス映画で、また学校を舞台にしたうらぶれた教師と早熟な生徒の物語ということで、『白い婚礼』のBL版という感じだった。