ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

原作:P・K・ディック、監督・脚本:大学の映画サークルの部長、出演:小劇団の端役の方々(伊武雅刀を除く)、って感じ。
基本的なプロットは悪くないし、知らぬ間に記憶が入れ替わって自分は一体誰なのか?というのは王道のサスペンス・ストーリーだけれども、この映画の場合は「他人の記憶を上書きできることが可能なウイルス」という万能アイテムを安易に導入してしまったために、ストーリーが発散してしまっている。この脚本家の頭の中では、遺伝子、ウイルス、免疫学、大脳生理学、……といった生物学に関する基本知識がごっちゃになっているか、あるいは全く欠けてるんじゃないか。せめて義務教育で教わる程度のことは押さえようじゃないか、観客はそんな馬鹿ばかりじゃないんだぞ。
それと、あまりにも偶然の要素が重なりすぎていて白けてしまう。パニックに陥った主人公がたまたま通りがかった車に撥ねられてしまうが、その車を運転していた女性がこれまたたまたま主人公の過去とつながりがある人物だったというのはでき過ぎ。この女性はジャーナリストという設定だったが、韓国の警察の身分証を持っていたのはどういうことなんだろう?何かの伏線かと思ったら、この件はそれっきり出てこないし。
久しぶりに睡魔との闘いを余儀なくされる映画であった。