ザ・ホスト 美しき侵略者

久しぶりの映画はこれ。人類のほとんどが異星人に意識を乗っ取られるという、ディストピアなボディ・スナッチャーという設定に惹かれて。
しかしこれは……むむぅ。
まず、主人公の女優に魅力が感じられない。これは好みの問題もあるだろうけれども、意識を異星人に乗っ取られながらも心の声としてその異星人に訴えかけたり指図したりするときの声の演技が、どうも気の強さだけを感じさせて、不本意ながらもその運命を受け入れるしかないという悲壮感とかセンチメンタリズムが皆無。徐々に「人間らしく」なってくる異星人のほうにより感情移入してしまうのだけど、これはそういう演出なのかもしれない。
その異星人のほうも、ほぼ全ての人類に寄生してしまっているので地球はもう彼らのものといってよいのだが、そのわりには姿形は人類のままだし英語を喋っているし普通にオフィスみたいなところで仕事をして車を運転して……と、異星人が人類を支配する過程が描かれていないのでなんともだけど、あまりに人間くさいので敵対視できない。それだけではなく、彼らは人類による地球の環境破壊を食い止めようとしている。そういう状況だけを見れば、単に種族として非力な人類が淘汰されただけで、この異星人は決して悪いやつじゃないのではないかと思えてくる。
こういう話にありがちなレジスタンス達も、直接武力行使に訴えているでもなく、砂漠の洞窟に細々と暮らしているだけで、むしろ怠惰なだけなんじゃないか。気位だけは高そうだけど、やる気あんの!?と言いたくなる。他にもいろいろと細かいツッコミどころが満載なので、きりがない。
強いて良かった点を挙げるとすれば、ラストで異星人の側から地球人のシンパが現われて共存の道を見いだせるのでは、という救いが見えるところかな。でもこれも、古いところでは『V』などでもあったエピソードなので、特に目新しくもないか。
まあ、はっきり言って観るだけ時間の無駄。内容もきっと一週間もすれば忘れてる。