ヴィオレッタ

(たぶん)80年代の後半から90年代の初めにかけて、トレヴィル×リブロポートの画集や写真集がアート好きの間ではもう常識でしょうみたいな感じで読まれていて、ギーガーやヘルムート・ニュートン、一時期ちょっとしたブームでボンデージものや人形・サイボーグといった流れで、イリナ・イオネスコの写真集も目にはしていた。ただし、写真家としてのイオネスコは、話題性が先行しているだけで芸術家としては実際どうなんだろーというのが正直なところ。
この映画はそのイオネスコの実娘でありモデルでもあったエヴァ・イオネスコ自身が監督ということで、観に行ってきた。例によって無粋な映倫が横槍を入れていて……という経緯は、観終わってから知った。
主役の子は確かに雰囲気はあるけれど、当時のエヴァに容貌が似ているだけで、小悪魔的に見えるのも他の同級生の子供たちが幼すぎるからのような気もする。とはいえ、芸術家(もどきかもしれないけど)と母親としての役割との間でゆれ動く不器用なイリナ・イオネスコの生き方は、実の娘として見てきたからこそ描けるのだろうと感じた。
あと、シド・ヴィシャスが出てくるのだけど、この俳優がちょっと気になって調べてみたら、ニック・ケイヴの息子とのこと。こっちのほうがびっくりだ。