ヤマザキマリ、とり・みき『プリニウス』I

巻数の表記は当然ローマ数字よな。
後期の『テルマエ・ロマエ』では二人の絵柄がぶつかり合っていた印象があって、この『プリニウス』はどうかなと思ったら、おおこれはいける。今どきの漫画にしては画がとても緻密で、火山や海といったスケールの大きなものから、食べ物や建物のディテールのように細かいものまで、とても丁寧に描かれていて見ごたえがある。
古代ローマという歴史的背景については自慢ではないがちんぷんかんぷんだしプリニウスという人物すら知らなかったが、確かに現代の基準からすると、合理と非合理が入り交じっていて違和感がある。でも著者二人による「とりマリ対談」がちょうどいい場所に入っていて、これをちゃんと読んでおくと合点が行く。澁澤龍彦にもプリニウスについての著作があるそうだし、なるほど南方熊楠か。
漫画家同士の合作というのもなかなか珍しい。特にとり・みきには、『山の音』や『石神伝説』のような作品への愛着があるのかもしれないなとも思ったりして。
これは面白くなりそうな予感がするので、あえて時代背景やプリニウスという人物については調べずに読むことにしよう。