萩尾望都『AWAY』1

漫画に限らず、紙の本じゃなくてもうそろそろ電子書籍に移行しようと思っていたのに、オビに「待望SF最新作!」とあるのでつい買ってしまった。
原案は小松左京の「お召し」という短編だそうだ。たぶん読んでない。
世界じゅうから突然18歳以上の大人が消えてしまった。残された子供たちは、自警団を組んだり乳幼児を保護したりと、子供たちなりに組織化された自衛手段を構築している途中らしい。『漂流教室』を連想するのは当然といえるだろう。
では消えてしまった大人たちはどうなってしまったのか?それは意外にも早々に第二話で明らかになる。大人たちはどこかへ行ってしまったのではなく、ただそこにいたのだ。子供も大人も地理的には同じ場所にいながら、互いを見ることも触れることもできない、いわば並行宇宙いるような状況。
小松左京はそれほど読んではいないけれども、突然起きた原因不明の現象によって人々が孤立するというのは、「物体O」や『首都消失』を思わせる。ということは、この大人と子供が別々の世界に分けられてしまうという現象の説明もきっとされないのだろう。
……されないのかな。どことなく『バルバラ異界』のような雰囲気も感じるので、萩尾望都は何らかの説明を(ただし、きっちりと整合性がとれているとは限らないが)してくれそうな気もする。
まだ1巻目だしこの後どうなるのか想像もつかないのだけど、これは面白くなりそう。
ところで、巻末の作者による謝辞。『タイムマシン』や『異星人の郷』を引き合いに出すのはちょっと違うんじゃないか。
なぜか『少年の町ZF』を思い出して読みたくなったのでeBookJapanで探したらあった。さすがだな。