フランク・ティリエ『GATACA』

GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)

GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)

GATACA(下) (ハヤカワ文庫NV)

GATACA(下) (ハヤカワ文庫NV)

ラストで「ええええ!」となった『シンドローム・E』の続編。
かなり期待して読み始めたけど、前作ほどではなかったかな。出だしは例によってショッキングなエピソードが続いてよいのだけど、この作者は登場人物に「解説」をさせてしまう傾向があって、そのあたりがちょっと引っかかってしまった。
基本的なアイディアは悪くないし、恐怖や暴力の描写も上手い。でもところどころ細部で疑問を持ってしまって、ノリきれなかった。例えば作中で左利きは生存に有利な形質だという主張をしているが、確かに右利きが多い社会の中では近接戦では有利だろうけど、仮にそうだとすると数世代のうちに均衡に達して、次は同じ理屈で右利きが有利になるのでは。
あと、この小説にはある仕掛けがあるのだけど、それには早々に気がついてしまったので全然ショックじゃあなかった。ここはもうちょっと上手くやってほしかったなあ。
このシリーズは映画化されるそうで、まあそれはそれで楽しみではある。