シグナル

例によって予備知識ほぼゼロで。
おおっ、これは……!なんとなく初日に観に行った甲斐があった。これは面白い。
思わせぶりなオープニングに、大学生3人組と謎のハッカー、男女のちょっとしたすれ違いもあったりする。そんなところにおやこれは『ブレアウィッチ・プロジェクト』のようなホラーなのか?という雰囲気になるものの、びっくりどっきりシーンはなくてホッとしたところが、まさかの急展開。おー、やはりSFだったか。
しかし、なんとなく胡散臭い。まずローレンス・フィッシュバーンの存在そのものが胡散臭いのだが、時代は現代であるにもかかわらず、大学生3人組が監禁されている施設のモニタがCRTだったり、セキュリティが暗証番号だったりして、設備のテクノロジーがちぐはぐ。職員らしき人々も一切喋らないし表情もない。
そんな違和感が積み重なり、映像美も相まって中途半端な非現実感とでもいおうか、現実でもなさそうだしかといってまったくの非現実や妄想でもなさそうだという、なんとも居心地の悪い気分になる。なるほど、このあたりがデイヴィッド・リンチの再来と言われる所以か。
そしてリンチと違うところは、きっちりとオチを説明してしまうところだろう。そのオチも全くヒネリがないのだが、むしろそれ故に凄みというか可笑しみというか、『CUBE』の世界観にも似た有無を言わせぬ説得力がある。
で、最後のローレンス・フィッシュバーン。これは反則的な面白さで思わず噴いた。
この監督は期待できるな。